3/2 古山明男さん講演会

2025年3月2日にSOWで行われた古山明男さんの講演会の一部を、Q&A形式にして紹介します。

古山明男さんは1949年に生まれ、1990年頃から35年以上にわたり、私塾やフリースクールなどで不登校の子どもたちに教育を提供し遊びを通じて向き合ってきました。また、多様な教育を推進するためのネットワークの代表を務め、情報発信や行政への提言活動、経済的支援などの活動を行っています。昨年はNHKスペシャル「学校の未来」にも出演し、今年の1月には「学校が合わない子供と親が元気になる77の知恵」という本を出版しました。

保護者
保護者

Q:不登校になる直前~直後の子どもの表情がなくなってしまったり、他の人とのコミュニケーションも避けるようになったりするのはどうして?

古山明男さん
古山明男さん

A:子どもがフリーズ状態になっているからです。

この状態はポリヴェーガル理論で説かれる自律神経の仕組みによって説明できます。このときは、音に過敏になってしまったり、考えがまとまらなくなってしまったりします。

このときに「甘えだ」「逃げている」「人生やっていけるのか」と言われると、余計に深刻な状態に追い込まれてしまいます。自律神経は言葉が分かりませんから、暖かい語調や柔らかい表情、ゆったりとした動きが伝わります。そういう時間を重ねていくと、だんだん元気になっていきます。

ポリヴェーガル理論の補足:https://beans-n.com/column/polyvagal/

保護者
保護者

Q:少しずつ元気になってきて、家の中では穏やかに過ごせています。そのあと、家庭でできることは何ですか?

古山明男さん
古山明男さん

A:良好な親子関係ができて、少しずつ外に出られるようになってきたら、運動やコミュニケーションが有効です。良いのは鬼ごっこですね。大人を振り切った時の快感を味合わせた後にその子の工夫を褒めてあげるのです。カードゲームなどルールのある遊びがいいですね。ただいられる場所、くつろげる居場所を見つけてあげることが重要です。

保護者
保護者

Q:家では元気なんですが、ゲームやYouTubeばかりしています。

古山明男さん
古山明男さん

A:ゲームが命綱となっているケースが多いです。ゲームは最も副作用の少ない抗うつ剤です。取り上げない方が良いです。

 ゲームの中には、目的意識・努力・成功体験なども入っています。ストーリ系のゲームは、素晴らしい物語を読んでいるのと同じです。

また、YouTubeは言葉のシャワーを浴びるための良い手段です。子どもたちは言葉の発達のために、どこかで言葉のシャワーを浴びる必要があるんです。なので、子どもたちの言葉の発達に寄与しているとも言えます。

「お前を見捨てていないよ、受け入れているよ」と伝え続け、ゲームを話題にしたり、一緒にゲームで遊んだりすることで関係を築いたあと、ゲーム以外の活動に誘導します。

「飽きた」と言い出した時がチャンスです。家族でトランプや麻雀をする、カレーライスを一緒に作るなどにより、子どもが社会的なつながりを感じ、ゲーム以外に興味を持つようになっていきます。

保護者
保護者

Q:子どもをほめて育てようとしていますが、なかなかうまくいきません。

古山明男さん
古山明男さん

A:子どもをほめと叱りで育てようとすると、子ども自身、価値基準を自分で作れなくなってしまいます。親に褒めてもらいたくて、「俺すごいだろ」と言ったり、逆にいたずらをして注目を集めようとしたりします。

丁寧に言葉をかけないと馬鹿にされたと感じて怒る子もいます。子どもが何かを達成した瞬間を見逃さずに声をかけます。例えば、漢字が書けるようになったとか、読めるようになったとか、そういう瞬間を見逃さずに認めることで、子どもは自信を持ち、さらに頑張ろうとする意欲が湧いてきます。また、子どもの話に関心を示し、話に入り込んで伝わったことを丁寧に子どもに伝えていくことも大切です。「あなたのしていることに関心を持って見ているよ」のメッセージが伝わるように、小さな声かけを積み重ねていきます。

保護者
保護者

Q:そうはいっても、学校に戻れないと、この先社会でやっていけるのか心配になります。

古山明男さん
古山明男さん

A:学校に行かなくても将来はなくなりません。18歳に照準を置いてみましょう。


学校に無理して戻ることも高校にこだわることもなく18歳に照準を置きます。子どもが成長し、社会に出る準備をする重要な時期だからです。例えば、子どもが10歳でやりたいといったことも、18歳や20歳になるとその情熱が本物か分かります。この時期に子どもが自分の興味や才能を見つけ、それを伸ばすことができれば、将来の成功につながる可能性が高いのです。

たくさんの心動かされる言葉と、不登校ならではの質疑応答があり、学びが多くありました。紙面の都合で、講演会の一部の紹介となりましたが、古山さんの言葉をもっと知りたいという方は、書籍でぜひお楽しみください。

学校に合わない子どもと親が元気になる77の知恵
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気をつけてねっていわないで: 子どもの心を育てるには
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