2024年6月2日にSOW(*)で行われた不登校グループ相談会の様子をシェアします。
子どもが不登校になると、真っ先に心配になるのは高校進学のことではないでしょうか?また、高校進学についての情報もまとめてみました。(*)SOWは、学校に行きづらい子とその親を対象にした居場所と親の会をしている団体で、港北区・神奈川区で活動をしています。
教えてくれたのは、岩間文孝さん。
岩間さんは、教育支援協会南関東の代表で、横浜子ども支援協議会の会長。不登校の子どもたちに20年以上関わって来られ、たくさんの子どもたちの成長を見てきました。
グループ相談会では、前半が講演形式、後半は円座になって質問タイムでした。その内容の一部と、以前岩間さんから聞いた話も総合して、一問一答でまとめてみました。
今、子どもが不登校なんですが、将来が不安です。
不登校だった人が20歳になったときに学生だったり就労している人は8割です。以前よりは、再チャレンジしやすい世の中になってきています。
高校には進学できますか?
はい、できます。通信制高校も増えていますし、通信制高校への志願者が伸びている現状です。入学のハードルは下がっています。どこかに入れる学校は必ずあります。
不登校でも公立の高校に進学できますか?
はい、できます。公立高校に行きたいと思って、中3の夏から勉強を始めて合格した子どももいました。周りは心配したけれど、なんだかんだ通えて卒業しました。
通信制高校はたくさんありますが、どうやって選んだら良いですか?
たとえば、何日通いたいか、通えなくなったときにコース変更ができるのか。制服があったら良いという子と私服が良いという子もいる。近くが良いのか遠くが良いのか。eスポーツやKPOPなどが勉強できる学校もある。子どもの希望に沿った形を選んでみてください。
進路選択において、大切なことはなんですか?
大切なのは、本人が選択すること、行動すること、悩むことに保護者が伴走することです。高校で何をしたいか、卒業後(将来)どんな風になっていたいかです。これらのことを考えて、ミスマッチを減らしていきましょう。
進路のことで学校から三者面談を求められたりしますが、子どもは進路の話をすると嫌がります。
事実として、面談に行ってくるよ、見学に行ってきたよなど、淡々と伝えていきましょう。子どもが一番不安に思っているかもしれません。
そろそろ進路選択の時期ですが、親から見ると、本人は十分休んで元気になっているように見えますが、動きがありません。
子どもが十分休んでいるように見えても、強い不安や葛藤を抱えている場合があります。また、親を気遣って本音を言わなかったり、親が期待していると感じて傷ついたりする時期もあります。動けるかどうかは、本人でないとわからないものです。まずは、子どもの状態を理解しましょう。いつか子どもは自立するものです。一人の人間として尊重し、子どもの力をまず親から信じて、そして見守りましょう。
中学卒業後、すぐに高校に進学する気配がありません。
秋から入学できる学校もあります。ですが、中学卒業後に所属があることで安心する子どももいます。どんな状況だと安心するかをポイントに子どもと進路を考えていけると良いと思います。
進路の話ではないのですが、スマホやゲームがやめられなかったり、暴言や文句・暴れることもあります。
そのくらい子どもが辛いんだということです。家の中で安心して過ごせるようにしてみましょう。部屋から出てこなくて直接話せない場合は、手紙もいいですね。手紙に、どんな状態でも変わらずに大切に思っていることを書いてみましょう。親は子どもに愛情を伝えているつもりでも、子どもに伝わっていないこともあります。親子のすれ違いはよくあることなので、子どもに伝わるまで伝え続けてみてください。
高校に入っても、行けなくなってしまったらと思うと不安です。
高校に入って張り切って通っていても、途中でエネルギーが切れてしまうことは、もちろんあります。大切なことは、本人の試してみたいという気持ちです。また、親が失敗を保証して、安心して挑戦できる環境を整えることも大切だと思います。
受験生なのに勉強をしません。
子どもが生まれたときは、存在してるだけで愛された。首が座ったら、次はいつおすわりをするのか、おすわりをしたら、次はいつ歩くのか。だんだん条件が上がってきているのではないでしょうか。今、そこに子どもがいることを、存在そのものを認めてみましょう。笑顔でいてくれたら良いのではないでしょうか。
高校入学がゴールではないと言っていましたが、ゴールはどこですか?
社会的な自立だと思います。自分が自分の人生において主人公になること。つまり、自分で考え、行動に責任を取るということ。そして、困ったときには、誰かにSOSを出せて、困っている人がいたら助けることが出来ることだと思います。
手の届く選択肢の中から、選び取り、学び、試行錯誤しながらさまざまな関係性の中で生きていくことが、おとなになるということだと思います。
子どもの前では気を遣ってしまい、なかなか親が休まりません。
親子だと煮詰まってしまうことがあります。家庭に新しい空気や価値観を入れましょう。支援機関にSOSを出したり、親の会で本音トークをする機会があると良いですね。
講演会と質問タイムは、全部で2時間を超える長丁場にもかかわらず、参加者の皆さんは熱心に聞き入っていました。
私も不登校の中学生の子どもを持つ母親です。子どもがどんな高校生になるのか、今はまだわからないけれど、もしかしたら急な動きがあるかも。失敗を保証できるように、自分の心の元気を貯めたり、情報収集をしながら、そのときを待とうと思いました。